『青い桜』

『朱い桜』

ある村に、こんな歌が伝わっていました。 もの悲し 御座の桜の 青なる に 満つる朱こそ 荒ぶるる 他にも、この桜には、悲しい事件が起こると 青い花が咲くという伝説があったのですが、 実際にそれを見たものはいませんでした。 さて、ある男がこの木を調べ…

『祟り桜』

とある村でのことです。 始めに犠牲になったのは、家畜でした。 山羊や鶏が、何者かに食い殺される事件が多発したのです。 村人たちは、それらを狼の仕業と考えました。 それで警戒を強めていたところ、 今度は、ある一家が襲われたのです。 惨劇は家の中で…

『人喰い桜』

今はもうない、ある村の外れに、 一本の桜の木が立っていました。 そこへあるとき、 学者を名乗る男が現れて、 その木を調査し始めたのです。 村の者はあまりいい顔をしませんでしたが、 男がどうしてもというので 好きにさせておきました。 男は村人に話を…

『子守り桜』

まだ肌寒い春の夜のことです。 打ちひしがれた様子の女がひとり、 生まれて間もない赤子を抱えて 桜の木の下でしばらく泣いておりました。 そして朝になったときには、 すっかり冷たくなっていたのですが、 幸いなことに、赤ん坊は無事でした。 母親の腕の中…

『桜祭り』

あるところに、桜の木がありました。 毎年、綺麗なピンクの花が咲く頃に、 その桜の木の下で、 小さなお祭りが行われていました。 あるとき、この桜の木の下で死んだ男がおりました。 男は死んだ後も霊となって現れ、 木のそばで悲しげにたたずんでいるので…

『青い桜』

とある村に、桜の木がありました。 あるときその村に、 とても悲しいことが起こりました。 すると次の年、桜は青い花を咲かせたのです。 それが何だか悲しげな青だったので、 きっと村に蔓延する悲しみを感じとって、 桜は青く染まったのだと噂されました。 …