『青い桜』
とある村に、桜の木がありました。
あるときその村に、
とても悲しいことが起こりました。
すると次の年、桜は青い花を咲かせたのです。
それが何だか悲しげな青だったので、
きっと村に蔓延する悲しみを感じとって、
桜は青く染まったのだと噂されました。
しばらくたつと、青い桜は散りはじめます。
村人たちは、それを見ていると、
何だか悲しみが癒えていくような気持ちがしました。
きっとこの桜には、悲しみを散らす力があるのです。
何年かたって、また普通の桜が咲くようになりましたが、
そのあとも時々、青い桜が咲くことがありました。
きっとどこかで誰かが悲しんでいて、
この桜はそれを散らしてくれているのでしょう。