『子守り桜』

 
 
 
まだ肌寒い春の夜のことです。
 
打ちひしがれた様子の女がひとり、
生まれて間もない赤子を抱えて
桜の木の下でしばらく泣いておりました。
 
そして朝になったときには、
すっかり冷たくなっていたのですが、
幸いなことに、赤ん坊は無事でした。
 
母親の腕の中に、桜の花びらがどっさり積もって、
夜冷えを防いでいてくれたのです。
 
それで、人々はこの桜を『子守り桜』と
呼ぶようになったということです。
 
 
 

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